どうしてそれをしているのか

「これ、20年も前の学生時代に描いた絵なんです」
…と、額装が仕上がったのを取りに伺った時にお店の方に話をすると

「残っているの凄いですね。
僕、美術系の学校でしたが全く残っていなくて。
後輩にあげたり、捨てたりです。」

「個展も昔はしましたが、今は全くです。
一人で描くのは好きですが
美術系の繋がりに疲れて…そういう意味では
僕には向いてない業界です」
とお話くださいました。

そして現代アートを学んだ彼の描いていた油絵を
スマホの画像で見せて頂きましたが
「うわー!すごい!」
…という物ばかりでした。
「これくらい描けるのは、山ほどいますからね」
…とお話されていました。

さて。
このオードリヘプバーンの点描画に限らず
私は額装をしていない絵が手元に沢山あります。
…というのも
額装を依頼する場所には
彼のような美大院卒のプロが沢山いて…
「私の画力の無い絵を
美術をガッツリ学んでこられた方に見られて、
それを額装するなんて…恥ずかしいな」
こんな風に、長い間思っていました。

だから、投稿もしないし
額装もしたことがありませんでした。
そんな風に思っていたという話を彼にすると

彼は…
「どうして描いているかが大事です。
ゆかさんは、描きはじめた経緯という物語や
理由がシッカリあるでしょ?
現代アートはその部分が大事ですから。
そこを説明できなきゃいけない分野なんで。
例えばしっかりデッサンを学んで
いつもゆかさんが描いている絵の、
この部分はこんな影をつけなきゃ!
なんて思うと楽しくなくなるでしょ?
どうなりたいんですか?
今のままでもいいんです。
上手くなりたいなら技術を学べばいいけれど
必要になった事だけを学べばいいと思います。
美大は必要じゃ無いことも
たくさん学びますからね^ - ^」

彼に限らず
美大を卒業した方々に
「こんな風に描けて羨ましい。凄い」と
言われたりすることがあるけれど

私から言わせてみれば
美術をしっかり学び、
画力が突き抜けている人たちに凄いと言われても、何が羨ましいのか全く意味が分からず
なかなか受け取れないままでいました。

でも、
「どうして描いているかが大事です。
ゆかさんは描きはじめた経緯という物語や理由がシッカリあるでしょ?
上手い下手じゃないんです。
そのままでいいんです」

これと全く同じ事を
音大を出てトップを走ってきた
プロの音楽家の友人が
言っていたのを思い出しました。

「どうして歌っているかが大事だよ。
ゆうたんが歌うのは物語や理由が
ちゃんとあるでしょ?
上手い下手じゃないねん。
そのままでいい。
『どうだ!うまいだろ?すごいだろ?』
そんなのを、ゆうたんの作品からは感じない。
だから、いいんだよ。」

絵も歌も技術が拙い分、自信はありません。
でも、届いたらいいのにな…て想いは
ずーっとあるので、いろんな表現を
ああでもない、こーでもないと
試行錯誤して、やり続けています。


究極の「人の為に」なのかもしれません。
絵の世界も、音の世界も
きっと他の分野の世界でも
「どうしてそれをしているのか?」が
大切なんだと思いました。

私は…
「元気を無くした人たちに
毎日は豊かで愛おしいものだと思い出して
その人らしく生きてほしい」

「心を楽しく自由にするのは自分だよ」
そう思って作品を作ったり
人と触れ合えるワークショップなどをしています。

昔の私と同じような人たちが
元気になったらいいな…と思うのです。

そして、こうやって
絵や音楽で色んな人と繋がれることが
本当にありがたいなぁと思うんです。

みなさんが何かを表現しているのなら
「どうしてそれをしているのか?」
「なぜそれをするのか?」という想いは
ありますか?

ゆうたん

Yutanの森 

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